NPO法人 NGO神戸外国人救援ネット(多文化共生/多言語相談)

「地域に飛び出す市民国際プラザ」 団体活動インタビュー

◆NPO法人NGO神戸外国人救援ネット (2026年8月25日) 兵庫県神戸市

「誰一人取り残さない」多文化共生社会の実現に向けて NGO神戸外国人救援ネットの歩みと支援現場のリアル


今回は神戸市のNPO法人NGO神戸外国人救援ネット事務局の村西優季さんにお話を伺いました。

誕生の背景と理念:阪神・淡路大震災を原点に
 1995年1月に発生した阪神・淡路大震災を契機として、神戸で在日外国人の人権問題に取り組んでいたNGOや有志の個人が集まり多言語ホットライン等の活動を開始、翌1996年に「NGO神戸外国人救援ネット(以下、救援ネット)」が立ち上がりました。 
 未曾有の災害という有事の中で、避難所運営や行政サービスをはじめとする支援現場において、外国人の権利や生活が必ずしも十分に保障されていないという日本社会の構造的な課題が浮き彫りとなりました。こうした現実に強い危機感を持ったメンバーが集結し、「外国人の人権と生活を保障し、多様な人々が共に暮らせる多文化共生社会の実現」を掲げて、草の根の相談・支援活動を開始したのです。

ホットラインの様子

活動の原点となった「多言語ホットライン」の様子
(1995年8月に開催)

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運営体制と「徹底した伴走型支援」
 現在、救援ネットの日常的な事務局運営は専任のフルタイム職員である村西さんが担っています。活動拠点となる事務所は、カトリック神戸中央教会の敷地内にある一室を無償で借り受けたもので、会議室などは他団体と共用しながら限られたスペースを活用して運用されています。
 救援ネットの支援における最大の特徴は、単なる情報の提供や関係機関の紹介にとどまらない、個別の事情に寄り添う伴走型の取り組みにあります。毎週金曜日に開設している相談窓口では、専門の相談員や通訳者が親身に耳を傾け、複雑な課題を抱えた相談に直接対応しています。
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NGO神戸外国人救援ネット事務所

 その上で、相談内容に応じて必要な場合は、それぞれの専門分野を持つ経験豊富な理事や運営委員へつなぎ、対応策が検討されます。また、救援ネット単体での対応が困難な労働問題については、会社との交渉や組合加入が必要となるため、大阪の「RINK(すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク)」や労働組合(ユニオン)といった専門団体へ引き継ぎ・連携を図っています。このように自団体での丁寧な対応を軸としながら、必要な場面では外部の専門ネットワークの知恵を結集し、解決の糸口を探っていきます。
 さらに、既存の行政窓口などでは対応が困難なケースに対しても、救援ネットは柔軟かつ踏み込んだ直接支援を展開しています。役所や関係機関からの紹介で「他の窓口では解決しきれなかった案件」が持ち込まれることも少なくなく、地域社会における「最後の砦」として重要な役割を果たしています。

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事務局の村西さん オンラインでの相談対応

多言語対応と持続可能な支援体制
 多様な言語背景を持つ相談者に対応するため、金曜日の相談日には主要な言語をカバーする通訳および相談員スタッフを配置しています。対応言語はタガログ語、スペイン語、ポルトガル語、英語など多岐にわたり、関わる通訳者や相談員には拘束時間や同行支援に応じた手当が支給されています。支援者の善意やボランティア精神だけに頼り切るのではなく、一定の有償体制を整えて適切に対価を支払うことで、支援活動の持続可能性と専門性を維持する工夫がなされています。

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相談対応を行うレギュラーメンバーの集合写真

行政との連携・補完関係
 救援ネットは草の根の活動を基盤としながらも、自治体や行政関連機関との連携関係を構築してきました。その象徴的な取り組みの一つが、兵庫県から受託して実施している「ひょうご多文化共生総合相談センター」の土日対応です。毎週土曜日と日曜日の9時から17時における同センターの相談業務を担うことで、自身の金曜窓口とあわせて地域における相談機会の拡充に大きく寄与しています。さらに、神戸市や兵庫県からはDV被害者支援事業を受託するなど、行政のセーフティネットを補強する役割も担っています。
 また、行政(Government)と民間団体(NGO/NPO)が対等な立場で連携し意見交換を行う連絡会議「GONGO」の枠組みも活用されています。現在は神戸市国際交流協会と兵庫県国際交流協会が交代で準備を担い、年2回開催されています。これは民間支援団体(NGO/NPO)をはじめ、自治体や兵庫県内各地の市町国際交流協会の担当者が一堂に会する貴重な情報交換・交流の場となっています。この機会を通じて関係機関や自治体の担当者が救援ネットの支援内容や強みを直接知る機会にもなっており、地域で困窮する外国人住民へのスムーズな相談紹介やアウトリーチを促す基盤となっています。

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支援者向け学習会の様子

現場が直面する課題と今後の展望 
 阪神・淡路大震災という困難の中で設立されて以来、救援ネットは一貫して支援を必要とする「一人ひとりの暮らし」に寄り添い続けてきました。しかしその歩みの過程では、支援における実質的な負担という課題が存在します。例えば、受託している県の相談事業は制度上の枠組みから電話対応や情報提供が中心であり、同行支援までは含まれていません。そのため、土日の相談対応などで現場への直接的な手厚いサポートが不可欠と判断された場合、救援ネット側が独自事業として費用や人手を繰り出し、自主的に同行支援を引き受けているという実情があります。また、こうした熱意と理念を共にする通訳や専門人材の確保も常に重要なテーマとなっています。さらに近年では、言語や在留資格が複雑に関係する外国籍同士の世帯からの相談増加や法制度の変化など、社会情勢の変化に合わせた丁寧な対応が求められています。
 また、震災から30年という歳月が流れる中で、当時を知る行政職員の世代交代が進み、当時の背景や支援ノウハウの理解・共有をいかに維持していくかも新たな課題となっています。救援ネットは、変化する行政組織や社会のニーズと向き合いながら対話を重ね、これまで培われてきた人権意識と多文化共生の視点を未来へ継承し、誰もが安心して暮らせる地域社会の実現を目指して確かな歩みを続けていきます。

NGO神戸外国人救援ネット ウェブサイト:https://gqnet.jp/