美濃加茂市(多文化共生)

「地域に飛び出す市民国際プラザ」 団体活動インタビュー

◆美濃加茂市役所 (2024年12月18日) 岐阜県美濃加茂市

多様性を活かした地域づくり~美濃加茂市の実践と未来~

今回は、美濃加茂市役所市民協働部まちづくり課多文化共生推進室 課長補佐の渡辺貴伸さん、主任の土岐志帆子さんにお話を伺いました。

美濃加茂市と外国人市民

 美濃加茂市は人口の約10%にあたる約6,000人の外国人市民が暮らしています。身分に基づく在留資格の住民が8割以上占めるのも特徴です。入管法改正の影響で1990年代に日系ブラジル人が急増、続いて日系フィリピン人も増加し、2008年には外国人住民が人口の10%を超えました。リーマンショックや、2013年に大企業の大規模工場が撤退したことで一時7%台に下がったものの再び増加傾向が続いています。市まちづくり課多文化共生推進室は本庁とは少し離れた駅に近いビルの1階にあり、NPO法人美濃加茂市国際交流協会、みのかも市民活動サポートセンターが併設されています。

やさしい日本語研修会.JPGやさしい日本語研修の様子

美濃加茂市の主な多文化共生施策

 市では外国人市民の増加に伴い2009年に第一次多文化共生プランを策定、多文化共生推進のために様々な施策を講じてきました。現在注力しているのは以下の施策です。

・コミュニケーション支援

市役所内の「外国人ワンストップ相談窓口」にはポルトガル語、英語、タガログ語の相談員兼通訳職員が配置され、行政手続きの相談を受け付け、円滑に行政サービスを受けられるよう支援しています。また、「やさしい日本語」の普及に力を入れ、職員研修を行い、窓口での活用や、各種文書の書き換えを進めています。また、各窓口には通訳用タブレットを配置し、言語の壁を低減する工夫を行っています。

・生活支援

「外国人ワンストップ相談窓口」の他、NPO法人ブリッジへの委託による「外国人生活相談窓口」を設け、銀行口座開設、通院時などの同行通訳や法律相談にも対応し、年間の相談件数は合計で約8千件に上ります。教育体制の強化にも取り組んでおり、プレスクール、外国人児童生徒対象の学習支援、身近にロールモデルが少ない高校生に対するキャリア教育も実施しています。


高校でのキャリア教育.jpg
高校でのキャリア教育の様子

市職員の活躍や、地域のNPOとの連携が生み出すもの

 外国人との共生の歴史を持ち、手厚い施策を展開している美濃加茂市ですが、インタビューを通じ、施策の継続、発展の陰には職員の皆さんの日々の献身的な努力があることを感じました。また、被災経験をした能登在住の国際交流員を講師にオンラインの防災研修を発案したり、名古屋出入国在留管理局の来訪の機会を捉えて、市幹部職員を対象とするやさしい日本語研修企画に繋げるなど、職員の皆さんのアイデアを駆使した機動的な取り組みも非常に印象的でした。また、市の連携団体であるNPO法人美濃加茂国際交流協会、NPO法人ブリッジやNPO法人アイキャンの方々にもお会いし、市役所とNPOが良好な関係で密に連携を図っている様子が伺えました。そして、ブラジル人、フィリピン人、日本人によって2021年に設立されたNPO法人ブリッジの存在自体が、美濃加茂市の共生社会づくりの象徴的な成果の一つであると感じました。

多文化交流イベントでの美濃加茂市役所ブース.JPG

多文化交流イベントでの美濃加茂市役所ブース

今後の展望

 外国につながる子どもの教育の充実、外国人市民の高齢化への対応、日本人と外国人市民の交流の推進も課題と感じています。これを踏まえ、よりよい地域づくりに向けて「第4次多文化共生推進プラン」が2025年4月から始動しました。★第4次多文化共生推進プランはこちら

 行政と地域が一体となり、多様な文化背景を持つ住民同士が安心して暮らせる環境づくりに向けて美濃加茂市の挑戦は続きます。

美濃加茂市役所 https://www.city.minokamo.lg.jp/

地域での交流会.JPG
地域での交流会の様子