南相馬市多文化共生センターSAKURA(多文化共生全般/就労支援/日本語教育支援/多言語相談)
インタビュー
2024.10.15
「地域に飛び出す市民国際プラザ」 団体活動インタビュー
◆南相馬市多文化共生センターSAKURA (2022年10月13日、2024年4月30日) 福島県南相馬市
~多文化共生の拠点SAKURA 外国人にも暮らしやすい南相馬への挑戦~
南相馬市のチャレンジとSAKURA
南相馬市多文化共生センターSAKURA、専務理事・事務局長の渡邉昌徳さんにお話を伺いました。
南相馬市は人口55,878人。外国人は536人(令和6年7月1日現在)。外国人比率は0.9%で外国人の散在地域に当たりますが、外国人の積極的な受入れに舵を切りました。その拠点が南相馬市多文化共生センターSAKURAです。背景には南相馬市の人口減少、復興に向けた労働力確保などの課題があります。
2019年の秋に外国人の受入や共生のための環境整備を協議検討する組織を設置、外国人の雇用やマッチング支援を行う組織体制について検討を開始しました。2021年に(一社)南相馬市外国人活躍支援協会を設立。2022年4月には南相馬市国際交流協会を併合し、「南相馬市多文化共生センターSAKURA」としてスタートしました。外国人の散在地域にありながら就労支援・企業支援と国際交流協会的な機能を併せ持つ組織は珍しく、大きなチャレンジです。
防災、防犯、交通安全教室の様子
活動は大きく4つの柱で行われています
雇用支援:雇用マッチングセミナー、合同面接会、在留資格取得に関わる行政書士との連絡調整等
生活支援:多言語相談窓口、多言語情報発信、生活支援ガイドブック配布、日本語教室、日本語ボランティア育成等
企業支援:企業訪問、相談受付、調査(雇用状況、雇用の意向等)、企業支援金制度の周知・申請書作成支援、やさしい日本語教室開催等
※市では、外国人を雇用する企業への補助金制度も設け、一人30万円を支給しています。
交流支援:国際交流(姉妹都市との高校生相互受け入れや地域住民との交流)、コミュニティ形成を目的とした事業、外国人のためのやすらぎと交流の場等
職員は渡邉さん含めて3人、渡邉さんともう1名は市のOBOGということで、市との連携も円滑です。アメリカ出身の市職員が定住しており、キーパーソンの一人として活躍しています。
お花見へ
地元の企業・外国人労働者との接点が持てず実態が分からないという声をしばしば耳にします。SAKURAは市内外国人雇用企業のほとんどが会員。顔の見える関係の構築に成功しています。その秘訣は、市職員時代からの人脈も活かしながら地元の企業に渡邉さんが行う丹念な働きかけです。2022年の10月の訪問時、既に地元企業で働く多くの外国人が日本語教室に通い、地域の人々との交流イベントにも参加していました。当日も相談者が絶えることなく、また、安心して会話をする姿が印象的でした。
英会話サロンの様子
伝言ゲームの様子
3周年まつりにて 渡邉さん
南相馬で楽しく働き、安心して生活してほしい
渡邉さんの願いは、外国の人々にも南相馬で楽しく働き安心して生活してもらうこと。そのために奔走する日々です。訪問から約1年半後に改めてお話を伺うと、外国人は確実に増加していました。一方で、せっかく南相馬で働いていても、賃金が時給換算で100円程度でも高い地域があれば流出してしまうことがあるそうです。総合的には生活費の面でも都市部より暮らしやすく、SAKURAによる手厚いサポートを受けられる南相馬市の魅力を発信し、定住化につなげるために試行錯誤を続けています。2023年隣接する浪江町に福島国際研究教育機構(F-REI)が設置され、相双地域の国際化の推進も見込まれます。SAKURAのチャレンジは続きます。