小山市・小山市国際交流協会(多文化共生全般/多言語相談/日本語教育/母子支援)
インタビュー
2024.08.27
「地域に飛び出す市民国際プラザ」 団体活動インタビュー
◆小山市・小山市国際交流協会 (2024年2月27日)栃木県小山市
~日本人も外国人も暮らしやすい地域づくりのために挑戦を続ける小山市~
今回は小山市国際政策課 多文化共生推進係所属の葛原さん、川俣さん、中田さんにお話を伺いました。
小山市の外国人住民は全人口の約4.9%にあたる8,173人(令和6年7月1日現在)で上位からブラジル、ベトナム、パキスタン、ペルー。永住者や定住者が多いのが特徴です。1980年代に日系人の定住者が急増し行政窓口の様々な分野で課題が顕在化、市民からも要望を受けたことから、市では平成4年市役所に「外国人相談室」を設置しました。市が直接運営する相談窓口のさきがけと言えるでしょう。令和元年からは国の交付金を受けて「小山市多文化共生総合支援センター」として機能を拡充し、英語、スペイン語、ポルトガル語の相談員3人を任用する他、ビデオ通訳13言語・電話通訳7言語・機械翻訳52言語に対応し、近年の相談件数は毎年5,000件以上に上ります。令和2年には多文化共生社会推進計画を策定しました。
多文化共生総合支援センターの様子
移転から4年目の新市庁舎は白を基調とした明るくスタイリッシュな居心地のよい空間。総合支援センターは庁舎の1階にあります。庁舎内に多くの外国人が訪れているのが印象的でした。その他に「外国人ふれあい子育てサロン事業」(国の「子ども・子育て支援交付金」を活用し国際交流協会に委託)外国人住民向けガイドブックの発行、Facebookやカタログポケットでの多言語情報発信、コミュニティFMの多言語ラジオ放送、市民や市職員を対象としたやさしい日本語講座、多文化共生講座、英語講座、多文化共生フォーラムの開催など様々な取り組みを行っています。また、小山市では国や様々な団体の補助金・助成金制度や、活用可能なリソースについて情報を常にアップデートし、施策推進に存分に活かしていることが伺えました。
他の地域でもぜひ、真似していただきたいと感じました。
小山市国際交流協会は平成6年に設立、市庁舎にほど近い小山市総合福祉センター内にあります。専従の市会計年度任用職員1名と兼任の市職員4名で事務局を運営し、120名ほどの会員の方々と共に活動しています。インターナショナルフェスティバル、バスツアーや色々な国の料理教室等の交流事業、日本語教室や会報の発行等を行っています。
「外国人ふれあい子育てサロン」は日本での子育てに不安を持つ住民の増加を受けて平成24年に開始しました。 専従の子育て支援員2名が英語、スペイン語、ポルトガル語で対応しています。訪問時に「彼らにとって必要な取り組みは何かを常に考え、試行錯誤しながら業務に当たっています」と、話してくださった職員の方の熱い思いがとても印象的でした。ニーズに基づいて事業を開発していくことは、とても大切だと思います。
日本語教室の様子
外国人ふれあい子育てサロン交通安全教室の様子
小山市では熱心に外国人と共に活動する市民がいる一方で「外国人とどう接したらよいか分からない」「地域のルールを守ってもらえない」という市民の声もあるそうです。葛原さん、川俣さん、中田さんからは「多文化共生社会の実現のためには外国人住民の支援だけでなく日本人住民が安心して暮らせることも必要。多文化共生の意識を、日本人・外国人問わずどのように広く浸透させるか、そのために何をすべきかが課題。日々考えながら取り組んでいます」とのお話がありました。日本の多くの地域でも同様の課題があるはずです。今後の小山市の取り組みをぜひ参考にしていただけたらと思います。
小山市 ウェブサイト https://www.city.oyama.tochigi.jp/
小山市国際交流協会 ウェブサイト https://oyamaiea.com/