特定非営利活動法人シャプラニール=市民による海外協力の会(多文化共生全般/外国人コミュニティ支援)

「地域に飛び出す市民国際プラザ」 団体活動インタビュー

◆(特活)シャプラニール=市民による海外協力の会 (2023年9月27日) 東京都新宿区

国際協力NGOが取り組む、在住外国人を取り残さない共生社会づくり~


シャプラニール=市民による海外協力の会(以降、シャプラ)、事業推進グループの宮原麻季さんにお話を伺いました。

国内事業開始の決定と、直後のコロナ

 シャプラは、1972年の創立以降、日本を代表する国際協力NGOの一つとして主に南アジアの貧困問題解決等に取り組んできました。事務所のあるネパールからは近年の日本への出稼ぎ移住者の急増とそれに伴う課題が度々共有されてきたこともあり、受入れ側の日本で何らかの取り組みを行う必要性が事務局全体の議論に上るようになりました。

 そして、2020年に国内の在住外国人支援事業を開始しますが、直後にコロナ禍に突入し、困窮する外国人の対応等に困った自治体や社会福祉協議会(以降、社協)から多数の相談を受けるようになりました。コロナをきっかけに支援を必要とする外国人住民の存在が顕在化し、新宿区の社協等、相談者からは「地域にこんなに多くの外国人が暮らし、様々な課題があることに驚いた」との声が寄せられました。

 最初に取り組んだのは、オンラインイベントです。多文化共生活動の実績が無く助成金獲得も難しかったため、得意なネパール語を駆使してネパール人を対象に母子保健、小・中学校の入学前準備、在留資格などをテーマに行い好評を博しました。その後ワーカーズコープ東京中央事業本部、反貧困ネットワークとの協働で困窮者(国籍不問)対象のフードパントリー・生活相談会の実施、新宿区の協働推進基金を活用した連続講座を開始するなど実績を上げて行きました。

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コミュニティスペース「マザリナ」オープニングの日 シャプラニール役職員の皆さん(中央:宮原さん)

 2023年夏には、日本に住む外国人と地域の人々が出会い交流できる場所、外国人が日本の生活での困りごとを気軽に相談でき、必要な情報を得られる場所をつくりたい、という想いから、クラウドファンディングで資金を集め、新宿の大久保地域でコミュニティスペース「マザリナ」を開始しました。現在は、在住外国人支援事業の3本柱として、①フードパントリー・生活相談会、②多文化共生連続講座、③多文化共生コミュニティスペース「マザリナ」を掲げ、精力的に活動しています。

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コミュニティスペース「マザリナ」オープニングの日に集まった様々なセクターの皆さんとの集合写真


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マザリナ 「世界の餃子会」の様子

「イシュー」だけではなく「地域」を見つめて

 人々に寄り添い、当事者と同じ目線に立ち、問題を取り巻く全ての人々へ働きかけ、課題の解決に取り組んできたシャプラ。また、「課題」だけを注視せずに「地域に何があるのか」を把握しながら地域コミュニティを形成、活性化につなげることを大切にしてきました。国内事業においてもその姿勢は変わらず、多文化共生を切り口に地域の課題を把握しながら、地域社会が活性化することを目指しています。そのために、多文化共生分野の団体はもちろん、それ以外の団体との連携、情報共有も大事にしています。

 お話を聞いた宮原さんには、「誰も取り残さない」という強い願いがあります。明確なキャリアプランを持たないまま来日することも多いネパール人の方に、在留資格をふまえた選択肢を提供し、彼らのキャリア形成に貢献したいとの思いから、行政書士の資格も取得しました。

 シャプラが長年の経験で培ってきた強みを生かした取り組みに期待がかかります。

シャプラニール=市民による海外協力の会 ウェブサイト https://www.shaplaneer.org/
マザリナについてはこちら https://www.shaplaneer.org/mazarina/