NPO法人Sharing Caring Culture(外国人コミュニティ、居場所づくり)

「地域に飛び出す市民国際プラザ」 団体活動インタビュー

◆NPO法人Sharing Caring Culture2023年12月1日) 神奈川県横浜市

「外国出身者の家族がそれぞれの頑張りや力を持ち寄って、共に海外での生活にチャレンジできる場」を目指して

 

 2014年に設立されたSharing Caring Cultureは横浜市北部の都筑区、青葉区を中心に活動しています。代表理事の三坂慶子さんにお話を伺いました。

 団体設立のきっかけは、小学校の時代に遡ります。お父様の海外転勤のため、小学校の3年間をアメリカのフレズノで過ごしました。当時、日本人は学校に一人だけという環境の中で日本人であることを「恥ずかしい」と感じていたそうです。そんな時、担任の先生からの違いを恥じる必要は無いということばに救われたそうです。先生は日系三世だったこともあり、三坂さんのアイデンティティの悩みのよき理解者でした。

 アメリカでは、三坂さんだけでなく、お母様も言葉が十分に分からない環境で、三坂さんと弟さんの二人の子育てにとても苦労したそうです。子どもながらに慣れない異国での子育ての大変さを知りました。そして、日本に帰国すると今度は同質性を求められることに戸惑うという経験もされました。

 その後、川崎市で小学校教諭となりましたが、学校現場を通じて外国出身の母親たちが地域に馴染めない様子を目の当たりにしたそうです。退職を期に、外国籍の母親が地域に馴染み、安心して暮らせるためのきっかけを作りたいと、外国人の友人と共にSharing Caring Cultureを立ち上げました。202312月現在、正会員13名、賛助会員23名、寄付会員22名のうち、外国人19名が参画しています。4名の事務局のほか、各プロジェクトの運営を担う外国人メンバーと事務局をコーディネートする外国人コーディネーター3名が運営に関わり、外国人もともに活動しています。

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他団体と共催で行った「DE&I Festival」の様子 (前方中央 三坂さん)
*DEI ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン

横浜はオールドカマーの人々が多い南部をはじめ、集住地域はありますが、北部は外国人が散在しているそうです。ニュータウンは転入転出の頻度が高かったり、駐在員家庭なども多いのが特徴だそうです。外国人の母子が地域の人々や外国人どうしつながる出会いの場の必要性を感じたそうです。

具体的な取り組みを紹介します。

多文化親子交流会

 来日間もない家庭の情報格差を埋める取り組みとして開始しました。未就学児の子どもを持つ外国籍の母親と、子育て経験のある日本人とのおしゃべりの場です。交流会での情報交換だけでなく、LINEなどSNSを通じたつながりの創出も目指しています。最近は、外国出身のお父さんが参加することも増え、パパ友を探しに来ている様子も伺えます。


子育て情報誌「OYACO

 地域の母親、父親や文化的に多様なメンバーによる共同プロジェクトです。特徴は、オンラインアンケートと座談会を実施した結果、外国出身の家族にとって、特に横浜市北部地域に初めて住むことになったファミリーにとって、地域とのつながりが持ちにくく孤独な育児に陥りやすいことから、子育てが意外と難しいこと、また、日本語を話せない人にとって、言葉の壁が最大のハードルになっていることもわかりました。そこで、2018年に『OYACO』を発行しました。そして20224月、横浜市国際局の補助を受け、英語とやさしい日本語の冊子第2版を発行しました。

https://sharingcaringculture.org/publication-oyaco-reference-booklet/


子ども多文化交流事業 

 多文化親子交流会の参加者が、子どもの成長に伴い自分の時間が取れるようになってから、日本語はできなくても講師として母語、母文化、料理の紹介、図書館での外国語の読み聞かせなどを行う取り組みです。活動に参加した人々からのニーズも聞き取りながら、活動の幅を広げています。例えば、日本人と外国籍の母親のペアでドラッグストアを訪問し、日本の常備薬などを知ってもらう取り組みもあります。以前は自国から医薬品を取り寄せるケースも多かったそうですが、コロナ禍でそれが難しくなりニーズが生じたことを踏まえた企画です。今後、小児救急、幼稚園の選び方、発達に困っていること・障害、フリートークの会も予定しています。  

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防災もテーマに開催しました
                                 


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ポットラックパーティーの様子


 三坂さんをはじめ中心的に活動するメンバーはご自分たちもお子さんを持ち子育てで多忙な方ばかりです。そのような大変な状況の中でも、課題を発見し、その解決のための効果的な取り組みを次々と発案し、実現しているSharing Caring Culture。資金調達、そして子育て世代以外の人材確保が課題です。是非、皆さんも応援してください。




Sharing Caring Culture ウェブサイト
https://sharingcaringculture.org/