(公財)大和市国際化協会(多文化共生/地域づくり)

「地域に飛び出す市民国際プラザ」 団体活動インタビュー

◆(公財)大和市国際化協会 2023年5月23日

外国人市民の自立と社会参加の促進を目指す地域の国際化拠点として


多様な人々が暮らす大和市

 今回は、大和市国際化協会(以下、協会)の職員で多文化共生マネージャーでもある石川和友さんと、藤原和華さんにお話を伺いました。
 
 大和市では、1990年に日系ペルー人が急増したことをきっかけに、様々な課題が顕在化するようになりました。これを受け、生活に密着した地域レベルでの国際化推進のため、市の呼びかけで1992年に団体設立に向けた懇談会が開催され、2年後の1994年、市が2億円を出資し、市民、行政、企業が一体となって促進する大和市の国際化拠点として、「大和市国際化協会」が発足しました。
 
 2022年末の外国人市民数は82の国と地域から7,528人と、人口の約3%を占め、半数近くが永住者であることも特徴です。市内に外国人が多く暮らす背景として、厚木基地の存在、1980年にインドシナ難民受け入れ施設 「大和定住促進センター」が設置された歴史も影響しているようで す 。 外国人住民が20%を占めると言われる「いちょう団地」もあり、近年は中国、ベトナム、カンボジア、ネパール人が増える等、多様な人々が暮らす地域となっています。

国際交流協会ではなく「国際化協会」

 全国各地には、交流を目的として設立された「国際交流協会」が多数あります。外国人住民の増加に伴って多文化共生の課題にも対応を始めた団体が多い中、大和市は設立時から地域の国際化推進を活動の主軸としてきた点が特徴的で、現在も外国人市民の自立と社会参加の促進に関する事業を中心に展開しています。
 
 協会の活動は、市の補助金、約19の法人会員、民生委員をはじめとする地域住民のほか、市職員、小中学校教員など個人会員約1000人によって支えられています。登録ボランティアは362名に上り、協会の多様な事業、活動に欠かせない存在です。

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多文化共生防災訓練の様子

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国際交流サロンで外国人市民が日本語ボランティアと1対1で日本語学習に取り組む様子



大和市国際化協会の存在感

 協会の事業の一例としては

・多言語による通訳窓口、同行通訳
・翻訳、情報紙発行
・災害時の情報提供拠点の整備
・日本語教室
・子どもの教育支援
・外国人ママの支援
・外国人市民と市長の懇談の場「外国人市民サミット」

などがあり、その他にもきめ細かい事業展開がなされています。中でも印象的だったのは、通訳相談件数が2021年、2022年とそれぞれ2,000件を超えているという点です。外国人にとって協会が心のよりどころとなっているということのあかしでしょう。
 

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医療通訳をテーマにした通訳ボランティア研修会の様子

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小中学生がボランティアと一緒に宿題に取り組む「夏休み子ども教室」の様子

 また、毎年実施している日本語ボラ ンティア養成講座には、新規に参加される方が毎回いるそうで、市民の関心の高さが感じられました。5年前には協会の移転と同時に国際交流サロンが開設され、外国人市民が ボランティアとともに日本語を学習する取組みが始まったそうです。



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大和市国際化協会の事業運営の中心である石川さん(左)と、 藤原さん(右)

 話をしてくださった石川さんは、入職10年目の正規職員です。 今後は、社会やニーズの変化に応じて、10年ほど大きな変更等をしていない事業の枠組みについての見直し等を検討し、「新たに転入してくる外国人にももっともっと活用される場になりたい」と、熱く語ってくださいました。優秀な職員を安定的に雇用することも、協会が地域の国際化の重要な拠点として機能する上で重要だと再認識しました。


【(公財)大和市国際化協会 ウェブサイト http://www.yamato-kokusai.or.jp/