(特活)国際活動市民中心 CINGA(東京都千代田区)(多文化共生/全般、日本語教育、生活相談、教育、災害時支援、医療)

「地域に飛び出す市民国際プラザ」 団体活動インタビュー

◆(特活)国際活動市民中心 CINGA(東京都千代田区 2022年06月28日

課題をいち早く見極め、連帯の力で国内の多文化共生推進を牽引するCINGA(シンガ)

CINGAコーディネーターの新居みどりさんにお話を伺いました。2000年代の始めに東京都内全域の国際交流協会を統括する機能が停滞した当時、武蔵野市国際交流協会(MIA)などが中心となって東京外国人支援ネットワークがそれを補完していました。その動きを支援する形で当時MIAの事務局長だった黒澤玉夫さんやコーディネーターの杉澤経子氏の呼びかけにより武蔵野で活動するメンバーを中心に2004に設立されたのがCINGAです。地域に暮らす多様な立場、職業の人々や専門職たちで構成され、現在に至るまでのCINGAの特徴であり強みです

基幹事業は「外国人相談」と「地域日本語教育」。多言語相談窓口を実際に運営すると共に、富山県や山梨県をはじめとする自治体の多言語相談の拡充のためのコンサルティング、地域日本語教育ではカリキュラム開発や調査研究を行い各地で地域日本語教室の機能拡充に取り組んでいます。事業間のシナジーを生み出ことも大切にしています。

新居さんご自身はJICA海外協力隊としてルーマニア滞在後、イギリスに留学をします。ルーマニアでは濃密であたたかい人とのつながりを経験した一方、イギリス留学時代は孤立して寂しい生活で、周囲の留学生も同様だったそうです。そうした経験を経た新居さんの原点は、日本で生活する外国人が孤立せず生き生きと暮らして欲しいという思いです日本に帰国後は、多文化共生や国際交流協会の機能を研究した後、東京外国語大学多言語多文化共生センター勤務を経て、2011CINGAに転職します。当時のCINGAは予算規模も小さく有給職員は新居さんのみ、大きなチャレンジでした。組織基盤が脆弱なので事業拡大もできないというジレンマを抱える典型的な市民社会組織(CSO)が、新居さんという専従職員を迎え徐々に力をつけ、現在、正職員17名、非常勤職員41名、大規模なCSOに成長しています。急成長の秘訣が気になります。階層型ではなく各事業の担当コーディネーターが調整を行い、それぞれの事業現場が高い裁量権を持っており、スピーディーに事業を進めることが可能だそうです。更に、学生のインターンも積極的に受け入れ、優秀な人材の獲得にもつながっている様子が伺えました

人とのつながり
人と人のつながりから新たなプロジェクトが生まれていく
(左奥:新居みどり氏)
CINGAと言えば、機動性や新規性を連想する方も多いのではないでしょうか。新型コロナウイルス感染症拡大では東京都と共にTOCOS、ウクライナ避難民の受け入れのためには他団体と連携してsupportRを開始するなど「今まさに必要な活動をタイムリーに」展開。緊急性の高い課題を見極め、連携に繋げる力が前提なのだと思いますが、新居さんから伺ったのは「いつでも対応できるための資金的な余裕を持つこと」でした。

多様な人々が共生する社会の実現に向けて、無くてはならない存在となっているCINGA同時にCSOとはどうあるべきか、組織基盤をどう強化できるのか、そして多文化共生をいかに推進するのか、という観点において多くの団体が抱える課題に対する答えを示しているように思います。更なる活躍が期待されます。    

CINGA ウェブサイト:https://www.cinga.or.jp/