(一社)OCNet(東京都大田区)(多文化共生/全般、日本語教育、生活相談)

「地域に飛び出す市民国際プラザ」 団体活動インタビュー

◆(一社)OCNet(東京都大田区 2022年06月27日

市民が力を発揮して、
行政と連携しながら地域の外国人との共生を図るOCNetとレガートおおた

 
OCNet
の理事の葵佐代子さんにお話を伺いました。

OCNetは今から30年前の1992年、大田区で「言語や文化、習慣などさまざまに異なる人たちと、普段の暮らしの中で交流できる場をつくり出し、広げていくこと」を目的に設立されました。外国人相談、日本語教室の他2009年からは区の委託を受けて大田区中国帰国者センターも運営しています。

活動の転換点の一つは2010年。かつて区が直営していた国際交流事業を、地域の住民と共に行う方針が打ち出されました。そこで、OCNetをはじめ地域で長く活動してきた国際交流団体、日本語教室等が集まり「レガートおおた」を設立します。意思決定をスピーディーにし、機動性を確保するため、団体を会員とするのではなく、各団体から個人がメンバーとして入会する仕組みとしました。以降「レガートおおた」が区からの事業の受け皿になりました。2019年には「国際都市おおた協会」が設立され、連携の形としては大田区からおおた協会へ移行しています。

大田区で「レガートおおた」のような団体が構築される背景には、「山王会館」の存在も大きいようです。山王会館は大田区の施設で、地域で国際交流や日本語教室を行う団体が無料で利用でき今も大切な活動拠点になっています。

「レガートおおた」の主な事業は多言語相談や通訳翻訳です。主に、OCNetの人材が担っています。相談は年間2000件にのぼり、相談者が絶えることがありません。OCNetをはじめ、地域で長く活動している団体の存在により、外国人とのつながりが築かれているようです。主に大田区に暮らしてきた外国人の方々が、新たに大田区にやってくる外国人に口コミで伝えることで浸透しているそうです。相談窓口は設置するだけでなく、相談者からの信頼があってこそ利用されるのだということを改めて考えさせられました。

元大田区役所の職員でもあった葵さん、様々な課題も感じています。区役所と、市民団体の連携はどうあるべきか、区役所とのよりよい連携協働とはどのような形か?常に考えています。

今の一番の課題は相談員の後継人材育成だとのこと。レガートおおたの相談事業では、既存の相談員が対応することはできても、後継となる人材育成の費用は捻出できません。行政とのよりよい連携の在り方を模索しつつ持続可能な体制づくりを検討中です。

OCNet通信

OCNet:http://www.ocnet.jp/
レガートおおた:http://www.legatoota.jp/index.html