古賀市役所(福岡県古賀市)(多文化共生/全般)

「地域に飛び出す市民国際プラザ」 団体活動インタビュー

◆古賀市役所(福岡県古賀市 2021年12月7日)

技能実習生や企業、高校生~人との繋がりで踏み出した古賀市の多文化共生

福岡県古賀市は、人口約6万人。工業製品、食料品の製造業が盛んで、交通の要所として栄えてきました。古賀市役所の国際交流・多文化共生係係長の渋田典子さんと飯尾幸恵さんにお話をうかがいました

古賀市ではこれまで働き手不足が課題でしたが、近年、技能実習生が多く採用され、市の外国籍住民は5年で2倍に急増しました。永住者と技能実習生の両方の方への支援が必要になる中、令和2年度から同係が置かれました。最初に行ったのは、実態把握のためあらゆる現場へのヒアリングでした。庁内28 30近い企業に訪問や電話をし、不動産会社や自治会、保育所や小中高校でも聞き取りを実施した結果、ネットワーク構築ができただけでなく、技能実習生とも繋がりが持てたとのこと。実際に当事者の声を聴いて初めて何に困っているかがわかるということをヒアリングを通して実感したと言います。

 渋田さん、飯尾さん

多文化共生の事業の手始めは、技能実習生など外国人住民のための情報冊子の作成でした。そこで全国の自治体から関連冊子を集め、実習生に感想を聞いて回りました。その声を基に、当事者目線の情報を、壁に貼っていつでも見て、使ってもらえる生活情報リーフレット「こがとも」として、英語、中国語、韓国語、ベトナム語、やさしい日本語で制作しました。「10代後半から20代の若者である技能実習生たちが、働きに来るだけで終われるでしょうか。仮にそうだとしても人生の中で古賀市に来て、それだけで終わっていいのでしょうか」という思いを反映して、「こがとも」は実習生の生の声やアイデアが溢れ、日本人市民の参加も見て取れます

 こがとも
  「こがとも」

その他に、やさしい日本語の啓発事業。市内にある高校でベーシックデザインコースの生徒に 「やさしい日本語」啓発用バッジデザインを依頼しました。ただデザインを依頼するだけでなく、古賀市の実状を踏まえながら「やさしい日本語」について一緒に学び、理解を深めました。若い柔軟な発想や感性を活かして高校生たちが考えたデザインを、市内の企業で働く約200人の外国籍の方に投票して選んでもらうという企画です。高校生の頃から社会の問題を知って、自分達が関わることで社会が変わる体験をすることが必要だという言葉に深く頷いてしまいました。 

取り組み1年目だからこそ先入観なくできたとも言えますが、市のあらゆるセクターの中で、熱い思いを持った人を見つけ出し繋いでいくお二人の姿勢に多文化共生の進むべきヒントを得たように思いました。今後の古賀市の取り組みとその姿が大変楽しみです。

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