湖南市国際協会(滋賀県湖南市)(多文化共生/教育,日本語教育・居場所づくり)

「地域に飛び出す市民国際プラザ」 団体活動インタビュー

湖南市国際協会(滋賀県湖南市 2021818)@Zoomオンライン

日本語教育や母語教育を通じて社会統合へ

湖南市国際協会の事務局長で、自ら外国人やそのコミュニティ、企業、行政など様々なセクターと繋がって協会の運営や事業に取り組んでいる鶴衛正義さんにお話しを伺いました。

2004年に甲賀郡石部町と甲西町が合併して湖南市になり、その3年後に湖南市国際協会が設立されました。行政と法人が役員として密接に関わっている組織です。県内最大の工業団地がある湖南市には、以前よりたくさんの外国の方が働いています。半数近くはブラジル人で、最近ではベトナム人が急増しているそうです。湖南市の広報紙もそれに合わせて、日本語、ポルトガル語、やさしい日本語で発行しています。

設立当初は国際交流が主流でしたが、時代の経過とともに多文化共生推進プランが策定されました。最初のプランの頃は定住外国人への「支援」という内容でした。その次のプランでは「支援」される側ではなく、支援する側に回って貰おうという内容になりました。後述する改訂中のプランではさらに進んで日本語教育や母語教育を通じて社会統合に向かっていくとのことです。

協会の事業のうち、特に多文化共生を担う「地域共生事業」の比重が大きくなってきています。この事業は、外国に理解のある方に講座に参加してもらった後、地域で多文化共生を推進していただくのがねらい。他にも外国人生活者への情報提供、外国人保護者への食生活や学校生活ガイド作成などは特に力を入れているものです。活動を通して接点ができた外国人の方の中から、ぜひこの方にはキーパーソンになってほしいと思った方に鶴衛さん自ら声をかけ、キーパーソンとして引き入れているそうです。

母語の支援も力を入れています。8年前にこの取り組みを始めようという頃、愛知淑徳大学の小島先生に来ていただいて、母語支援に関して辛口のアドバイスをいただき、それがきっかけとなり、国の公民館活用の事業に申請し始めたものです。最初は教室というよりも子どもの居場所づくりとしてのスタートでした。今は市の補助で継続し、保護者も熱心に子どもたちを後押ししています。

 母語教室
 母語教室BasicoⅠ

コロナ禍では外国人に正しく情報を伝えるための情報収集に追われたそうです。他の地域の団体や大学が発信する多言語情報を湖南市で発信しました。相談事業では件数が増えただけでなく、相談内容もDVやパワハラなどの相談が増えてきました。人と話す機会が減って、自分のことについて話す場がないことでストレスをため込んでしまうことが原因ではないかと、「つながる」をキーワードにした「つながる日本語おしゃべりCafé」を企画しました。昨年12月に開催した時は、鶴衛さんもサンタの扮装で参加したそうです。

 つながる日本語おしゃべりかふぇ
 つながる日本語おしゃべりカフェ
 つながる日本語おしゃべりCAFE

現在、湖南市は多文化共生推進プランの改訂を進めています。(「湖南市多文化共生推進プランWith KONAN Plan3」、20223月現在パブリックコメント実施完了)。これに基づいて今後の協会の事業も計画されます。鶴衛さんは、特に日本語教育や地域活動などに外国人の方と一緒に取り組むこと、外国人児童への母語支援を強化していくことへの熱意を語ってくださいました。湖南市国際協会では、事務局長をはじめ組織を構成するすべての人が、協会を中心に市の多文化共生の取り組みに関わっている、そんな印象を受けました。

湖南市国際協会のウェブサイトはこちら