(特活)岡山日本語センター(岡山県岡山市) (多文化共生 / 日本語教育・居場所づくり)

「地域に飛び出す市民国際プラザ」 団体活動インタビュー

(特活)岡山日本語センター(岡山県岡山市 2021年3月5日)@ZOOMオンライン

多様な人々の相互理解と共生に向けた本質的な教育の場としての地域日本語教室を目指す

理事長の浦上典江さんは夫の仕事で3年間生活したマレーシアのペナンから帰国後、多文化共生が当たり前だった生活から一転、当時の岡山は外国人に会うことも稀で、多文化共生の意識が薄いと感じたそうです。そんな折日本在住15年の外国人女性から「街に出るのが怖い」と打ち明けられました。「何とかしなくては!」と早速行動を開始します。行政への働きかけも重要と考え、岡山県庁とも粘り強く交渉を重ねました。瀬戸大橋着工が開始した時代、国際化推進の流れにも乗る形で1984年岡山日本語センター(OJC)設立にこぎつけました。

元は英語教師の浦上さんはペナン在住時日本語教室も開設しました。帰国後は大学で英語と日本語教育に従事。その経験も活かして、日本語能力向上に有効な教科書をレベル別に5種類制作しました。OJCは言語の4要素に「文化」を加えた「5要素統合教授法」を実施しています。言語と文化は一体だからです。そして、日本語指導研修を細やかに行い、互いを尊重し信頼し合える教室運営に努めています。自国の宗教・文化や我が街の問題点、優れた点を日本語で議論し合うことが本質的な相互理解に繋がっています。

ふれあい

毎年恒例の「ふれあいパーティ」
会員手作りの料理で、一般市民と受講生等が楽しく過ごします

現在は2カ所の拠点で9クラスを運営しています。コロナ禍で開講日の減少や、オンライン化のための資金調達も課題ですが、日本語学習の問い合わせは絶えません。日本語教育推進法制定で日本語教育が普及に向かうのを歓迎する一方、「日本語教育の本質」が失われないか危惧もしています。OJCは「知識や技術として」の語学習得だけではなく、相互理解に繋がる「本質的な教育」の場の提供を目指しています。そのため、市民との文化交流行事、国際理解学習支援、企業等での授業、日本語教育情報交換なども行っています。ボランティアだからこそ、そうしたOJCの理念を共有しながら活動できると感じているそうです。多様性を尊重し共生社会を実現する上で、日本語教育の果たす重要な役割について示唆をいただきました。