(一社)多文化リソースセンターやまなし、小規模保育所 「みんなのいばしょ」(山梨県山梨市、中央市)(多文化共生 / 全般/ 保育・プレスクール)

「地域に飛び出す市民国際プラザ」 団体活動インタビュー

(一社)多文化リソースセンターやまなし、小規模保育所 「みんなのいばしょ」
(山梨県山梨市・中央市20191030) 

外国にルーツのある人々を支え、外国にルーツのある子どもたちの未来のために

 
多文化リソースセンターやまなし代表理事の加藤順彦氏にお話を伺いました。

日本企業の駐在員としてブラジル赴任後、結婚して家庭も持ち、30年暮らした加藤氏は日本で働くブラジル人の窮状を知り早期退職して来日。ポルトガル語を活かした相談対応や通訳・翻訳からスタートし、現在は2012年に立ち上げた多文化リソースセンターを拠点に、地域の外国人支援に積極的に取り組み、外国人相談、日本語教室の主催の他、地域の外国人住民、留学生、技能実習生等の支援に日々東奔西走しています。

センターでは、県内のみならず、厚生労働省の電話相談事業である「よりそいホットライン」外人ラインを国人ラインを受託するなど、全国規模の支援も行っています。県の「やまなし外国人材受入・共生ネットワーク会議」、県国際交流協会に属する「やまなしインターナショナルネットワーク」の会長として助言、提言を行うなど、行政等にも積極的に働きかけています。

多文化・多言語保育へ 

加藤氏は日本で暮らすブラジル人にとって教育が喫緊の課題と痛感していたところ、国が小規模保育事業所制度を整備すると、いち早く準備に着手、制度開始の2015年中央市に「みんなのいばしょ」を設立しました。外国にルーツを持つ子どもたちが言語習得を含め日本社会に慣れる環境として日系ブラジル人と日本人職員の体制で、一人ひとりに寄り添うきめ細かな保育を展開、子どもだけでなく親の支援も行い、3歳からは日本の幼稚園、保育園への入園を想定し伴走しています。

また、卒園後も、保護者、そして転園先からの問い合わせを受けるそうで、外国人対応に慣れない保育園、幼稚園の支援も行っています。施設長は、日系ブラジル人の元山ビアンカ氏。彼女自身、
8歳で来日するも学校に馴染めず、いじめに合うなど辛い時期を過ごしました。諦めずに努力して日本語を学び、次世代の子どもたちが自分のような苦労をしないよう、支援する側として活躍しています。

C型に分類される同保育所では保育士資格は必須ではありません。自治体で開催する研修を受講し「子育て支援員」資格を取得したスタッフの配置が可能、ビアンカ氏も支援員です。この意味で、C型の小規模保育事業所は、在住外国人の職業の選択肢、活躍の幅を広げる取り組みとしても期待されるのではないでしょうか。リソースセンターでは南アルプス市に2園目となる「イノヴェ学園」を設立、今年4月に認可を受けました。今後、加藤氏の引退後はビアンカ氏に事業を引き継ぐ予定とのこと。

次世代のために活躍する加藤氏やビアンカ氏のような方々の取り組みが、子どもたちの未来に繋がっています。

(一社)多文化リソースセンターやまなしのウェブサイトはこちら 

※みんなのいばんしょ 卒園式の様子