島根県邑南町役場、(一社)コミュニティパートナーズ、 (社福)石見さくら会(島根県邑南町/国際協力/地域づくり)

「地域に飛び出す市民国際プラザ」 団体活動インタビュー

◆島根県邑南町役場、(一社)コミュニティパートナーズ、 (社福)石見さくら会
(島根県邑智郡邑南町/2020年3月3日、4日)

多様なアクターによる「地域発」の国際協力から地域活性化へ  

 2004年の町村合併で誕生した邑南町は人口1万人の中山間地域。「日本一の子育て村」を掲げ、豊かな自然を活かし地域の伝統文化を大切にしながら福祉の町、「A級グルメの町」として農業や食、観光にも力を入れた町づくりの取り組みがメディアでも取り上げられるようになりました。邑南町は、12地区の公民館を中心に住民による地域創生の取り組みが行われています。役場で住民の健康づくりに携わっている保健師の土崎さん、地域の活性化に取り組んでいる(一社)コミュニティパートナーズ(以下「CP」)の日高さん、邑南町にI、UターンされてCPの理事と事務局長をそれぞれ務めておられる束村ご夫妻にお話しを伺いました。


土曜クラスの様子高齢者自助グループの集まりにて、邑南町齢者福祉担当の職員が邑南町の取り組みを紹介


 CPは、1990年に合併前の旧瑞穂町の住民グループで活動をはじめた「瑞穂アジア塾」を母体に設立されました。日高さんは立ち上げメンバーの一人で役場のOBで地元の仲間と地域活動や海外との学び合い等に取り組まれてきました。同塾で20年以上継続していた研修生の受け入れを足掛かりに、(特活)ピースウインズ・ジャパン(広島県神石高原町)の職員でCP理事の束村康文さんの持つミャンマーの人脈等も活かし、邑南町とCPの連携による地域発の国際協力として、クレアの自治体国際協力促進事業(モデル事業)が採択され「ミャンマーにおける高齢者福祉人材の育成協力事業」が実現。自治体とNGOの強みを活かした連携事業となりました。


2年目に実施したヤンゴンでのワークショップにて。左から土崎氏、板屋氏、束村由里氏と現地のパートナーNGOのHelp Age Internationalのスタッフ2名と共に


 高齢化の著しい町の福祉関係者が蓄積した経験と技術を活かしてミャンマーの高齢者の介護予防や介護技術の支援を行うとともに、邑南町職員や福祉関係者、学校教育の活性化など地域の振興につながる取り組み、初年度は、ミャンマーNGO職員と行政職員の招聘、現地での事前調査、研修計画を策定。2年目は町の保健専門職員と高齢者介護施設の専門家を現地に派遣、高齢者自助組織のリーダー、医療人材等を対象にしたワークショップを行い、介護予防・健康増進の取り組みを伝えました。


現地の村で高齢者のお話を伺う様子

 ミャンマーで指導に当たった2人の専門家からのコメントです。保健師の土崎さん「自治体職員として普段は住民だけに考えが行ってしまいがち。今回全く違う状況におかれたミャンマーの方々に接し、背景や考え方・取り組みを聞き本当に学ぶところが多かった」。 (社福)石見さくら会のケア・マネジャー板屋さん「日本のように介護保険制度が確立されていないミャンマーでは、日本で失われがちな高齢者を大切にする文化が根付いており、施設での介護の在り方を再考するよい機会になった」。

 また、町内での報告会や広報等を通じて、町内の高齢者福祉関係者および住民が海外の実態を通じて町の共通課題である高齢化対策を振り返り、地域資源の再発見を始め様々な気づきに繋がる好機にもなったとのこと。今後は、不足する介護人材のミャンマーからの受け入れも検討さ
れているとのこと。

 高齢者介護という地域の優れた資源を活用して、行政のみならず、様々なセクターの連携による国際協力を通じて、地域の活性化や課題解決にもつなげるという取り組み。こうした活動が各地に広がることが期待されます。 


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