特定非営利活動法人神戸定住外国人支援センター(兵庫県神戸市)(多文化共生 / 保健・医療)

「地域に飛び出す市民国際プラザ」 団体活動インタビュー

◆特定非営利活動法人神戸定住外国人支援センター(兵庫県神戸市/2019年3月4日)

デイサービス「ハナの会」の入口

デイサービス「ハナの会」の入口。自然光の入る明るい中庭に面しています。

 「何歳であっても、健康で、安心して満足に暮らせるように」

阪神淡路大震災後、日常的に外国人支援に取り組むため設立された神戸定住外国人支援センター(KFC)。 様々な バックグラウンドを持つ住民が暮らす国際貿易都市・神戸での取組み、特に、全国でもまだ珍しい高齢者の支援についてお話を伺いました。

KFCの支援対象は子どもから大人まで、その内容も多岐に渡りますが、その中でも高齢者支援事業は、デイサービスやグループホーム、訪問介護等を提供し、介護職スタッフ含め50名が働く根幹事業です。もともとは在日コリアンの高齢者を対象と したデイサービスからスタートしましたが、現在の利用者は中国残留邦人帰国者、日本人、日系ブラジル人、第三国定住難 民のベトナム人にまで広がっています。

高齢になれば日本での居住期間も長くなり、生活にも慣れて、特別な支援は不要では?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、日本にやってきた経緯は皆さん様々。全員が若い頃に日本にやってくると は限りません。加えて、日本の生活に慣れていたとしても、高齢になると日本語を忘れてしまうというケースもあるそうです(若いころの記憶が鮮明になるのは日本人の高齢者も同様です)。お話をお伺いした呼和徳力根(ふふでるげる)氏(呼和徳力根氏はもともと内モンゴル自治区からの留学生で中国語話者であるため中国残留邦人帰国者の担当をしていらっしゃいます)が、「一般成人以上に、社会、文化、言語のバックグラウンドへの丁寧な配慮が必要」と 仰っていたのが印象的でした。その配慮の一つとして、オーストラリアの例を参考にデイサービスの利用日を国籍別に分けることで、バックグラウンドを考慮したサービスを行っています。

実際に様子を拝見させて頂きましたが、急な訪問者である私たちを皆さん笑顔で迎え入れて下さり 、デイサービスでの時間をリラックスして楽しんでいらっしゃる様子が伝わってきました。

また、もう一つ印象的だったのが立地です。「ハナの会」は駅前の新しいビルに入居しています。利便性 が良いことはもちろんのこと、立地のいい場所にあるということが利用者の精神面での配慮にも つながる、というお話でした。高齢者であること、マイノリティであることは決して隠すべきことでは なく、「大切な存在」だというメッセージを「立地」を通して伝えているとのことでした。バックグラウンドの多様性や心の声に耳を傾けることの大切さを強く感じました。