特定非営利活動法人 Asia Commons 亜洲市民之道(東京都北区)(多文化共生 / 教育 / 日本語教育・居場所づくり)

「地域に飛び出す市民国際プラザ」 団体活動インタビュー

特定非営利活動法人 Asia Commons 亜洲市民之道(東京都北区/2019年11月26日)



豊島五丁目団地の様子

 国籍・宗教・年齢を問わず市民が集まる場「アジア図書館カフェ」

 NPO法人 Asia Commons 亜洲市民之道は2011年に設立され、中国、韓国、台湾をはじめ、世界の市民同士の交流を目的に、草の根の国際交流や異文化理解講座の開催、翻訳・通訳などを行っています。活動をする中で、拠点となる「場」が必要ではないかと考えていたところ、高齢化と多様化が進む豊島五丁目団地の住民から相談があり、 自治会や商店街の理解を得て団地の1階にある「わくわくステーション」を借りて「アジア図書館カフェ」を始めるようになったそうです。

 毎週火曜日に開催されてい る「アジア図書館カフェ」を訪ねました。4,900世帯、東京都北区最大の団地でもある豊島五丁目団地では中国からの移住者が多く、当日も中国人住民の方々が日本語の勉強に来られていました。代表の麻生水緒さんや日本人住民が先生となって、マンツーマンもしくは少人数でその人にあった日本語学習のサポートをされています。また、進路相談をする台湾の青年や日常の困りごとの相談にきた韓国の住民の方、絵本の読 み聞かせをしてもらう外国ルーツの子どもまで、様々な人が集う場となっています。

 相談内容は、幼稚園の面接の練習や連絡帳の解説、就職の面接練習、不動産の賃貸契約のサポートなど多岐にわたります。日本人住民の方も積極的に関わっているのが特徴で、日頃の活動以外にも、団地に住む医師との共催による無料の健康相談会を実施しています。自治体との連携も少しずつ始まって おり、北区主催の外国人住民向けイベントの情報を外国人住民に伝える拠点にもなっているそうです。

 最近は、近隣にある私立高校の高校生が授業の一環として参加しており、英語や中国語、やさしい日本語でコミュニケーションをとっているのも印象的でした。高校生が参加するようになったことで日本人住民が高校生から英語を習うようになるなど、「外国人支援」という枠組みにとらわれない広がりをみせています。「支援者」と「外国人」だけではなく、日本人住民・外国人住民・NPO・近隣の市民(学生)が共にコミュニティをつくる様子は、 まさにアジア図書館カフェが掲げる「国籍・年齢を問わず、共生をモットーに活動する場」となっています。豊島五丁目団地のあり方は、多文化共生の今後にとって大変示唆に富んでるのではないでしょうか。





※わくわくステーションの入り口※