市民国際プラザ

ホーム  >  セミナー・イベント開催実績  >  「平成21年度国際協力活動ステップアップ・ワークショップ」開催報告

「平成21年度国際協力活動ステップアップ・ワークショップ」開催報告

本ワークショップは、日頃接点の少ない自治体・NGOの関係者等が一堂に集い、事例紹介やグループ討議を通じて相互理解を深め、より効果的な国際協力活動やそのための連携のあり方を考えるものです。今年度は、2010年1月28日と29日の2日間、独立行政法人国際協力機構広尾センター(JICA地球ひろば)の講堂において、同センターの協賛を得て開催し、46名が参加しました。

今回のワークショップでは、「国際協力が織りなす地域間交流と学びあい」をテーマに、日本と開発途上国の地域間交流・協力に結びついている国際協力の取り組みを紹介し、その現状と課題を明らかにするとともに、地域資源を活用した地域づくりとリンクした国際協力のあり方や、それに向けて自治体・NGO・国際協力機関等のアクターがどのように連携・協働を図っていけるのか、について活発な議論が行われました。主な内容についてご報告します。

photo

長畑氏によるファシリテーション

photo

吉田氏の基調講演

1日目

アイスブレーキング及びグループ討議

まず、2日間を通してワークショップのファシリテーターを務めた長畑誠氏(一般社団法人あいあいネット専務理事)の進行のもと、6つのグループに分かれ、「地域で人々が共同でやっていること」をグループごとに挙げていきました。昔から住民が協力して行ってきた田植えや稲刈り、茅葺屋根の葺き替えなどの共同作業が行われなってきている一方、在住外国人への支援やさまざまなボランティア活動など、新たな取組みも多いことが明らかとなりました。地域社会のあり方や地域と自分とのつながりについて考える機会となり、議論の出発点となりました。

基調講演「日本の地域社会における国際協力活動と地域づくり」

吉田均氏(山梨県立大学国際政策学部国際コミュニケーション学科准教授)より、@地域社会における国際協力の目的、A地域社会における国際協力団体の分布、B地域づくりのための自治体協力(双方向協力の事例)の3点を中心にお話いただきました。吉田氏は、国際協力を行う上で、それが「援助」・「協力」のいずれであるのかを整理し、国家・地域・団体のどのレベルの利益を設定すべきかを明確にすることが重要であると指摘されました。その上で、地域づくりのために自治体が国際協力に注目する理由について、@多くの自治体が地域益に敏感であること、A自治体そのものが地域社会における最大の組織かつ産業であること(人材やノウハウが備わっている)、B多様なネットワークを有すること、C国際的な業務を実施しているケースが多いこと、の4点が挙げられました。

さらに、地方都市で国際協力がさまざまな団体(知的インフラ)によって重層的に行われている現状について説明があり、地域づくりを目的として自治体が国際協力を行っている事例として、山梨県が中国・四川省と協力して行っている温泉開発を中心とした観光政策づくりや産業育成の事業が紹介されました。

グループ討議

吉田氏の基調講演を受けて、各グループで具体的な国際協力の事例を取り上げ、その事業の日本側のメリットについて考えました。主な意見として、研修生や留学生の受け入れによって地域の異文化理解や意識啓発が進んだこと、外国人との接し方を学んだこと、一つの事業をきっかけに将来的な事業拡大の可能性が広がったこと、海外との交流を通して日本の地域に対してどのような貢献ができるのかを考えるきっかけになったこと、などの意見が出されました。

JICAセッション「地域における市民参加協力事業」

高田宏仁氏(独立行政法人国際協力機構広尾センター市民参加協力促進課長)より、JICAが実施している市民参加協力事業の枠組みや内容、事業評価の結果概要について発表が行われました。特に、同事業の推進によって、学校現場を中心に途上国や国際協力に触れる機会が増えていること、国際協力の実践者が育ち、地域のネットワークが形成されていること、NGOとの連携関係が深まっていることなどが評価される点として挙げられました。また、ケーススタディとして、秋田県・新潟県・愛知県の事例が紹介され、地域の条件に応じた効果的なアプローチの必要性が浮き彫りとなりました。

photo

グループ討議の様子

photo

滝川国際交流協会の事例発表

2日目

1日目の振り返り

まず、各グループで「興味深かったこと」、「気づき・学び」、「もっと知りたいこと」を書き出し、1日目の議論を振り返りました。参加者からは「双方向の協力」・「地域益」というキーワードが出され、これらを踏まえつつ、2日目のプログラムが行われました。

事例発表

「滝川から世界へ 世界から滝川へ〜北海道滝川市が進める国際協力による地域づくり」
発表:山内康裕氏((社)滝川国際交流協会 事務局長)

北海道滝川市は、平成12年度よりJICAの草の根技術協力事業(地域提案型)を活用し、社団法人滝川国際交流協会と協働で、アフリカ・マラウイ共和国から農業技術研修員の受入を開始しており、畑作技術や果樹栽培技術、農民組織運営、農産加工・流通・販売等の技術指導を行っています。全国でもトップクラスの農業関連機関があり、農業が盛んな滝川ならではの国際協力が、地域の活性化や国際的な視野を持った人材の輩出、国際性豊かで多様な地域性の醸成につながっていることが紹介されました。世界に開かれた「国際技術研修都市」・「国際多文化都市」を目指す滝川市の挑戦に、参加者からは、日本の小さな地方都市でも国際協力で大きなインパクトを地域に与えていることに驚きと賞賛の声が上がりました。

事例発表「千葉県が進める県内の多様な協力主体の連携による国際協力事業」
発表:加瀬文彦氏(千葉県総合企画部国際室(国際交流協力グループ)副主幹)

千葉県は、ベトナムを対象とした国際協力モデル事業の実践等を通じて、県内の様々な協力団体の連携による「千葉の国際協力」事業を推進しています。

発表では、まず自治体の国際協力が求められている背景や自治体が国際協力を推進する意義について説明があり、千葉県の国際協力の基本スタンスが紹介されました。特に、県のベトナムにおける下水道・水環境教育分野や障害児教育分野での協力活動は、県内市町村・JICA・民間企業・大学等との連携のもとに実施しており、こうした取組みがきっかけとなって、県内のNGO等の自主的な取組みも広がっている現状が報告されました。

photo

グループ討議の様子

photo

事業案発表の様子

グループ討議(アクティビティ)+発表

4つのグループが作られ、前半は2人の事例発表者が2グループずつを回り、滝川市と千葉県の事例について、@どのような点で地域が元気になったのか(日本側の利益とは)、Aどのようなアクターと連携して事業が進められたのか、B継続性・持続性を保つにはどのような点が課題・教訓として挙げられるか、の3つのポイントを中心にグループごとに議論を行いました。

滝川市の事例では、推定1〜2億円の経済効果があったことに加え、欧米に偏らない国際理解が進んだこと、国際的なステータスや地域に誇りを感じるなどの意識が芽生えたこと、市民が主体的に行動するようになったこと、市民・農家・行政をつなぐネットワークができたこと、などがプラス面として確認されました。一方で、行政の首長の理解やコーディネーターの役割がいかに重要であるかということ(逆に言えば、それらがないと継続が難しい)、資金確保の問題、周辺の自治体への波及効果が少ないこと、などが課題・教訓として提起されました。

千葉県の事例では、県が持つ上下水道の技術を活かした取り組みや、県内の自治体やJICA、NGO、高校などと連携した事業展開に関心が集まり、今後はPRを盛んに行うことや、市民が気軽に参加できる事業を増やすことがさらなる活性化につながるのではないかとの意見が出されました。また、今後の課題として、担当者ばかりに負担が集中しない体制づくりや資金確保などが挙げられました。

最後に、参加者の所属団体が既に実践している、あるいはこれから実施の計画がある事業について、グループごとに知恵やアイデアを出し合い、新たな事業案を作成する作業が行われました。クレアのモデル事業やJICA草の根技術協力事業を活用することを念頭に置いた検討がなされ、地域の持つリソースや特性をどのように活かしていくのか、他のアクターとどのように連携すればよりよい効果が得られるか、事業実施によって日本側にもたらされるメリットは何か、という視点で活発な議論が行われました。そこで議論された4つの事業案は、どれも短時間で練られたものとは思えないほど連携相手や事業内容などが具体的であり、これらを参考にした事業が今すぐにでも始められそうな印象を受けました。

今回のワークショップは、国際協力と地域づくりとの接点を考えてみるものでしたが、国際協力活動が地域社会に及ぼす影響は思いのほか大きく、より多くのアクターが関わることによって、活気溢れる地域社会の構築につながる可能性を期待させるものとなりました。

参加者からは、「地域活性化と国際交流・協力のつながりなど、あいまいだった点が少し明確になった」「日頃接点のない他自治体やNGOの方と顔の見える関係作りができてよかった」「事例発表の中にNGOや市民の目線で行政や地域を巻き込んでいく事例があると、また新たな視点が生まれると思う」などの感想が寄せられました。また、ファシリテーターや講師・事例の選定については適切だったとの声が多く聞かれ、内容や構成、進め方についても満足度の高い結果となりました。

〒102-0083 東京都千代田区麹町1-7 相互半蔵門ビル1階 市民国際プラザ TEL:03-5213-1734

Since© 2007 Citizens' International Plaza & Council of Local Authorities for International Relations All rights reserved.