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「地域における国際協力推進フォーラム〜ひょうご国際協力セミナー」開催のご報告

市民国際プラザでは、人材育成プログラムの一環として、国際協力活動に対する地域社会の理解や関心の喚起、地域の国際化や活性化につながるような地方自治体・地域国際化協会・NGO等の連携による国際協力のあり方を議論する標記フォーラムを毎年地域ブロックごとに開催しています。

一昨年度の九州地域、昨年度の中国・四国地域に続いて、今年度(平成20年度)は、11月28日(金)に独立行政法人国際協力機構(JICA)兵庫国際センターにおいて、兵庫県ならびに(財)兵庫県国際交流協会と共催で、近畿地域の国際協力関係者を対象に、「地域に支えられた国際協力をめざして」をメインテーマとして開催しました。近畿地域の中でも特に兵庫県は、阪神・淡路大震災の教訓を活かして、国際防災関係機関等と連携しながら防災技術・ノウハウの移転や防災教育の推進に努めているほか、緊急支援活動や環境保全・工業・農林水産・医療の分野で技術研修員を世界中から受け入れるなど、国際的な人材の育成にも力を入れています。

今回のフォーラムには、兵庫県や大阪府をはじめとする近畿地域の各府県から、自治体や地域国際化協会職員、NGO関係者など約110名が参加しました。午前中に、国際協力の実践者等によるパネルディスカッションが行われ、午後からは、「防災」・「環境」・「多文化共生」の各分科会に分かれ、それぞれの分野で先進的な活動事例が紹介されました。その後、参加者は自らの活動経験を他の参加者と共有しつつ、地域に支えられた国際協力のあり方やそれに向けて自治体や地域国際化協会、NGO、国際協力機関等がどのように連携していくべきなのか、その方策について意見交換を行い、活発な議論が展開されました。

国際協力推進フォーラム   国際協力推進フォーラム

パネルディスカッション

午前中は、兵庫県や近畿地域の国際協力の現状に詳しい、(特活)関西NGO協議会代表理事の藤野達也氏(兼コーディネーター)、兵庫県産業労働部観光・国際局長の多木和重氏、独立行政法人国際協力機構兵庫国際センター業務課長の向井一朗氏、(特活)関西国際交流団体協議会事務局長の有田典代氏の4名のパネリストによるパネルディスカッションが開催され、それぞれの機関・団体の活動を紹介いただきながら、地域社会とともに歩む国際協力のあり方について、これまでの経験を踏まえたご発言をいただきました。

この中で、多木氏はフィリピンのピナトゥボ火山噴火災害を契機に植林活動に取り組む(特活)IKGSの活動に触れ、途上国の地域と日本の地域をつなぐ活動の重要性を強調されました。有田氏からは“地域に支えられた”よりも“地域とともに”という視点の方が大事ではないかとの指摘があり、途上国の貧困開発においても住民の主体的な参加が重要であるのと同じように、日本国内においてもより広範な市民の参加が不可欠であり、国際的な視点に基づいて地域社会を見直し、地域に豊かな文化を育んでいくことが大切である、そのためには私たち自身の自覚と覚醒、ライフスタイルの変容を促す意識啓発・学習活動が求められていると述べられました。向井氏からは、昨今の日本の国際協力は、地域開発・コミュニティー開発の視点に立った協力が進められるようになっているが、重要なのは外から何かを持ち込むことではなく、地域にある人材や産物、景観などのリソースを再発見・再評価することであり、そうしたプロセスを経て、国境を超えた真の地域間交流や協力に結びつくのではないかと強調されました。

分科会

「防災」・「環境」・「多文化共生」の各分科会では、冒頭、それぞれの分野で先進的な事例が2つずつ発表され、その後、参加者の間で地域に支えられた国際協力のあり方や他セクターとの連携について意見交換が行われ、それぞれの活動経験の共有が図られました。

「防災」分科会では、「兵庫県が「国際防災・人道支援協議会」を通じて実施している国際的な減災対策の推進及び国際機関等とのネットワークづくり」(報告者:村田昌彦氏(阪神・淡路大震災記念人と防災未来センター主幹兼事業課長))および「マレーシアのサラワク州の先住民族コミュニティに対して2006年度から3カ年計画で実施している「住民組織による消防・防災体制作りのモデルプラン作成事業」」(報告者:安川雅雄氏(インターユース堺事務局次長)・高田慎太郎氏(同団体事務局員))の発表がありました。村田氏からは、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、国際的な防災連携の枠組みが構築され、防災分野の研修や大災害を語り継ぐ「稲むらの火」普及プロジェクトなどに力を入れていること、安川氏および高田氏からは、活動の成果として、住民の防火意識が向上したこと、現地の防災指導者の育成が図られたことなどが紹介されました。

「環境」分科会では、京都府が府立高校の協力のもと中国・陝西省での植樹協力として実施された「高校生国際林業技術協力事業」」(報告者:山名英夫氏(京都府立北桑田高等学校教諭))および「滋賀県竜王町で実施されている、農と国際的環境保全を軸とした「都市(まち)」と「農村(むら)」との交流モデル形成事業」(報告者:山口智大氏((社)日本国際民間協力会琵琶湖モデルファーム事業担当))の発表がありました。山名氏からは、現地での植林活動が現地大学生や高校生たちの一時的な交流にとどまらず、今後は長期的な展望に立って活動を継続させることを目指している点が強調されました。山口氏からは、同事業がはじめは団体のスタッフやインターンを対象とした体験型有機農業研修であったのが、次第に農や食、環境、国際協力に関心ある人たち向けの体験学習へと変化し、都市と農村の交流や地域の活性化に主眼が置かれるようになった経緯が紹介され、この活動を支える地域の輪が確実に広がっているとの報告がありました。

「多文化共生」分科会では、「多文化共生のまちづくりと自治体等との連携・協働」(報告者:吉富志津代氏((特活)たかとりコミュニティセンター常務理事))および「京都市、(財)京都市国際交流協会、(特活)多文化共生センターきょうとが協働で進める医療通訳派遣事業」(報告者:濱屋伸子氏((財)京都市国際交流協会事業課情報サービス係主任))の発表がありました。吉富氏からは、同団体の活動が阪神・淡路大震災における被災外国人の救援活動にはじまり、その後の多言語による情報提供、多文化の発信活動など、さまざまな活動を協働体として運営しながら多文化共生のまちづくりを推進してきたことに特徴があり、2003年度から在日外国人コミュニティとたかとりコミュニティセンター、兵庫県国際交流協会の3者が協力する「外国人県民サポート事業」が開始され、さらにコミュニティビジネスの展開による自立支援へと活動が広がっている現状をご報告いただきました。濱屋氏からは、この制度ができるまでに生じたさまざまな問題や協働事業を円滑に進める上での役割分担・実施体制、事業の現状と成果などについてご報告いただきました。

それぞれの分科会の後半では、参加者による活発な意見交換や議論が展開され、行政やNGO/NPOそれぞれの取り組みを共有する仕組みづくりの大切さや、両者とも市民への啓発や参加の呼びかけるといった協力ができること、市民が担い手となる多文化共生をどのようにつくっていけるかが課題である等の意見が出されました。

国際協力推進フォーラム   国際協力推進フォーラム

全体会

最後に全体会が開催され、藤野達也氏をコーディネーターとして、各分科会で発表された事例の概要や討議内容について、「環境」分科会は中尾秀一氏((財)アジア福祉教育財団難民事業本部関西支部長代行)から、「多文化共生」分科会は有田典代氏から、「防災」分科会は藤野達也氏から、それぞれご報告いただきました。

その後の議論で、中尾氏からは、国際協力事業は年々予算が厳しくなっているが、足らない部分を補い合って資金や人材を融通しあうことから他セクターとの連携を深めることもできるのではないかとの指摘がありました。有田氏からは、もっと経験の共有化ができればさらに効率よく事業を行うことができるのではないかと発言され、地域国際化協会等が作成する多言語生活ガイドや、自治体やNGO/NPOで実施している多言語の相談窓口からで出てきた課題を整理して、自治体の施策につなげることの必要性などを訴えられました。藤野氏からは、企業で働いている人たちを地域の住民として国際協力活動に巻き込んでいくことの重要性を強調され、企業の中から国際的な意識を高めていくことも地域における国際協力の観点から大切ではないかとのコメントがありました。

参加者アンケートからは、「地球規模の問題を地域の問題に照らし合わせて考えることの大切を学んだ」、「他の団体で取り組まれている先進的な事例を聞くことができて、今後の活動の参考になった」、「様々な団体・所属の人が参加していて、意見交換できたのがよかった」などと好意的な意見が多数寄せられ、さらに今回の各分科会のテーマをさらに掘り下げた内容のワークショップ等の開催を希望する声も多く聞かれました。

市民国際プラザでは、今後も本フォーラムを通じて参加者の国際協力活動に対する理解や関心を深めるとともに、活動や取り組みを進める上での手掛かりやネットワークが得られるような機会を創出していきたいと考えています。

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